【浄土真宗】知っておきたい葬儀の流れとマナー、お布施の相場は?
浄土真宗は、浄土宗を開いた法然の弟子、親鸞聖人により創られたとされています。親鸞が亡くなった後、複数に分派しましたが、現在では本願寺派と大谷派が主です。 本尊は阿弥陀如来。経典は「浄土三部経」で「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と唱えます。 浄土真宗の教えでは、本尊である阿弥陀如来の本願力により、亡くなった方は念仏を唱えれば即身成仏し、すぐに極楽浄土に生まれ変わると考えられています。そのため死者の冥福を祈る風習はありません。
浄土真宗の葬儀の流れ
◇臨終勤行
本来は亡くなろうとする本人が、阿弥陀さまへの報恩感謝の儀式として行うお勤めですが、多くの場合、亡くなったあとに故人に代わり僧侶と故人の親族がおこないます。ご本尊の前で行うことが多く、故人の枕元にあたる場合が多いことから、枕経とも呼ばれます。
浄土真宗では末期の水はふくませず、故人は北枕に寝かせます。清掃などの処置の後は白服をかけ、顔にも白布をかけます。死後すぐに極楽浄土に生まれ変わると考えられていることから、死装束はありません。
また、よく戒名とよばれるものは、浄土真宗では法名(仏弟子になったときに授かる名前)と呼びます。生前に受けていない場合には、臨終勤行の際に法名を授けてもらうのが一般的です。臨終勤行を行わない、またはこの時法名を授からなかった場合は出棺までに授かるとよいでしょう。
◇通夜
通夜とは、葬儀の前夜に、ご遺族や有縁の方々が仏前に集まって行われる勤行です。近親者や知人が夜を通して亡くなった方のそばに集い、故人を偲びつつ如来様のお救いを味わう行事とされています。
本来は参列者も僧侶と一緒にお勤め(読経)するのが本来の形ですが、できないときは僧侶の読経を心静かに拝聴しましょう。浄土真宗では、通夜の間中お線香をたやさずに見守るなどの決まりはありません。
◇葬儀
葬場で行う勤行をさします。ご遺族や生前にお世話になった方々が集まります。
本願寺派では「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」の勤行が用いられています。本願寺派の葬儀の特徴は、「葬儀は故人への供養のために行われるのではない」との教えです。本願寺派では、阿弥陀如来の救いを信じれば極楽浄土へ行けるとされているため、故人の供養を行う必要はなく、葬儀は阿弥陀如来に感謝の意を表すためだとされています。
亡くなるとすぐに仏様になれる、と考えられている本願寺派では、あの世に送るための儀式は行われず、塩で清めることもありません。
故人は死後に仏様となり、人々と再会できると考えられているため、死者にお別れを告げる「告別式」という言葉も使われないことが特長です。
葬儀の流れは以下のようなかたちが一般的です。
- 1.導師(僧侶)入場
- 2.開式
- 3.三奉請(さんぶしょう):阿弥陀如来、釈迦如来、十方如来あるいは諸菩薩衆を招く儀式
- 4.導師焼香・表白(びょうびゃく):葬儀式の趣旨を簡略に述べる文が読まれます。
- 5.正信偈(しょうしんげ):正信念仏偈を読経します。
- 6.念仏:短念仏を唱えます。
- 7.和讃(わさん):仏様を送ります。
- 8.回向:読経の功徳をすべての人に分かち合い、極楽往生を阿弥陀如来に願います。
- 9.導師(僧侶)退場
- 10.閉式
- 11.喪主の挨拶
- 12.出棺
◇火屋勤行
葬儀が終わり火葬場に行き、棺(ひつぎ)をかまに入れるとき唱える経を火屋勤行(ひやごんぎょう)とよびます。
◇収骨勤行
地域によってとりおこなわれている所と、おこなわない所があり、現代では行わない地域も増えています。
火葬場で遺骨を拾い骨壷に納め、壺は木の箱に入れ、さらに白いさらしなどで包みます。
火葬場内で指定の場所で机などの台を設け、その上に骨壷を置きお勤めを行います。この時お勤めされる経は、「讃佛偈」とよばれ阿弥陀様の徳をたたえ、自分も仏になって人々の役立つことを誓う事を説いたものです。
◇還骨勤行
火葬場から遺骨を自宅にかえしたあと、全く塗装のしていない経机のようなものに遺骨を安置します。これを中陰壇といいます。中陰壇は仏壇の横に設置し、仏壇の前でお勤めをします。このことを一般に「骨あげ」といいます。
勤行がおわると、僧侶によって、「御文章」が拝読され、葬儀中のお勤めは終わります。
◇浄土真宗における線香の作法
浄土真宗では、香炉の中にお線香は立てません。横に寝かせてお供します。
荘厳壇(祭壇)前には、線香用の香炉とは別に、お焼香用の香炉を用意し、弔問客にはお焼香をしてもらうのがしきたりです。
お焼香の際は、ご本尊の前で一礼し、お香を3本の指で摘みます。本願寺派の場合お香を額に持っていかず、そのまま1回だけ香炉にくべます。大谷派は同様にして2回香炉にくべます。
また、仏教では死を穢れとはあつかわないため、清め塩は必要ありません。
◇参列者の服装と香典
香典袋の表書きは、亡くなったその日から「御仏前」です。一般的には四十九日までは「御霊前」とされていますが、浄土真宗の場合は亡くなったその日に極楽浄土にいけると考えられていることから、四十九日の考え方を適用しないのです。
浄土真宗の数珠は、房が「蓮如結び」になっています。長い一連の珠数を二重にして用い、一般的には、主珠が108個、親珠が2個、四天珠が4個で構成されます。
また、浄土真宗の一般男性は主に片手念珠を使います。
そして数珠の持ち方についても、本願寺派と大谷派で少し違います。本願寺派では、数珠な房を下に垂らすように2連で掛け、そのまま右手を合わせます。
大谷派では両方の親珠を両手の親指と人差し指の間ではさみ、房は上から下に垂らします。
◇浄土真宗葬儀のお布施の相場
お布施とは、葬式や葬儀をしたときに僧侶や寺院に対して贈る謝礼のこと。浄土真宗本願寺派の葬儀では、お布施は主に、法名と読経に対するお礼としてお渡しします。
基本的に、お布施は気持ちでお渡しするものであるため、定められた金額はありません。
一般的なお布施の金額は宗派や地域、葬儀の規模、さらに菩提寺との関係によっても違います。
浄土真宗の葬儀のまとめ
浄土真宗の葬儀は、他の宗派の葬儀と比べて考え方が違う点がいくつかあります。わからないことは葬儀社や僧侶に確認しつつ、しきたりを守って葬儀を執り行いましょう。
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葬儀の流れ
葬儀社に連絡
臨終→葬儀社に連絡→ご遺体の移動→安置→葬儀の打合せ
葬儀場・日程や菩提寺等への連絡、斎場(火葬場)確認・葬儀方法決めます。
通夜
納棺→通夜→通夜ぶるまい
家族葬の場合、参列者が身内のため、通夜や告別式の受付は用意しません。
告別式
告別式(読経・焼香・献花)・式中初七日→斎場へ移動→火葬
火葬の間に斎場別室で精進落としの場合もあります。
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